子ども生活学部

学部・学部長のごあいさつ

学長からのごあいさつ−未来志向の皆さんへ

宇都宮共和大学
学長 須賀 英之

東京大学経済学部を卒業。日本興業銀行(現みずほ銀行)人事部副調査役、産業調査部主任部員、本店営業部・業務部副部長などを歴任し、平成12年須賀学園に戻る。

現在、学校法人須賀学園理事長、宇都宮共和大学学長、宇都宮短期大学学長、同附属中学校長・高等学校校長、栃木県私学審議会委員、栃木県文化振興審議会会長、栃木県楽友協会会長、宇都宮まちづくり推進機構理事長、とちぎの元気な森づくり県民会議会長などをつとめる。

「乳幼児期」は、生涯にわたる人格形成の基礎となる大変重要な時期です。
今、家庭生活や地域の環境は、子ども達が心身ともに健全に育つためには、必ずしも適切とはいえない状況にあります。たとえば、家庭は核家族化、小家族化となり、母親の就労、長時間労働による父親の不在、母親の育児不安など、さまざまな課題を抱えています。また少子化などによる兄弟姉妹の減少は、子どものコミュニケーション能力の低下を招き、同年齢や異年齢の子どもとうまくかかわり、遊ぶ力が育ちにくくなっています。

子どもを取り巻く社会環境は、子どもの衣食住の全てにわたり、大量生産による商品の消費やテレビ・ビデオ・パソコンなど人工的な機器に適応する能力を求められて、主体的にものを考え自ら環境に働きかけていく機会が減少しています。就学前の子どもたちの健康で豊かな発達を支える仕組みについて、社会的にも大きな関心が向けられています。0歳からの親の保育を支援する保育所と3歳からの教育の場である幼稚園は、その両方の働きを統合して0歳からの子どもの発達を総合的に支援しようという気運が高まっています。これからは、保育士と幼稚園教諭の両方の資格・免許を持ち、さらに幼小連携や特別支援の理解が深い保育の専門家が求められています。また親の生活や地域での生活を含めて、子どもの育ちを支えることのできる幅広い高度な知識と技能をもった人材がますます必要となっています。

このような社会環境にある中、「子ども生活学部 子ども生活学科」では、乳幼児期の子どもの生活、保育・教育と社会環境に関する専門家を、4年間の大学教育でしっかりと養成し、みんなで支えあう温かい地域社会づくりに貢献し、子どもと大人の豊かな生活を探求したいと願っています。

子ども生活学部 学部長からのごあいさつ

宇都宮共和大学
子ども生活学部
学部長・教授 杉本 太平

文教大学人間科学部人間科学科卒業(社会学士)
東京福祉大学社会福祉学研究科社会福祉学専攻博士課程前期満期退学(修士論文修了)

東京都文京区教育センター教育相談専門員、東京教育専門学校専任講師、川越市・入間市の乳幼児健診心理相談などに従事し、現在、宇都宮共和大学子ども生活学部教授として保育者養成に務めている。人間関係・HRST研究会会長として、関係学理論を背景に独自に開発した地域住民や対人支援の専門職者を対象に心理劇(行為法)を用いたアクティブラーニング(HRST)の研修会を主催し、子育て支援者の養成を中心に各種の講演活動を行っている。
日本関係学会(運営委員・研修委員長)、日本人間関係学会、日本心理劇学会、日本心理臨床学会、日本心理学会に所属。主な著書は「精神保健-子どもと家族の援助のために-」(共著、樹村房)など。

より良い保育者(社会人)になるために ―大学での「学び」を大切に―

宇都宮共和大学子ども生活学部は本学の教育理念「全人教育」に基づく「保育者養成」の学部として、宇都宮短期大学人間福祉学科から2011年に子ども生活学部として大学に設置されました。

短大から4年制大学への移行した理由の一つとして、子どもへの保育・幼児教育に加えて、保護者支援や地域の子育て支援の中核となる役割機能への期待など、現代社会の保育・幼児教育の現場における保育者への高いニーズに応えられる人材の育成には、4年間の「学び」が必要不可欠である。ということが挙げられます。

学部名を「子ども生活学部」としたのは、「保育・幼児教育」という狭い枠組みではなく、「子どもの心身の発達と子どもの生活について、子どもが育つ家族や家庭生活、地域の自然環境、社会環境とのかかわりを、総合的、体系的にとらえる」視点を重視して、子どもと共に豊かな生活を創造できる人として、豊かな専門性と人間性を備えた専門的職業人を育成していく。という教育の目標を掲げているからです。

大学は「学ぶ」ところです。ユネスコ(UNESCO)で活躍したフランスの思想家のポール・ラングラン(Paul Lengrand)が1965年に「生涯学習」をいう概念を初めて提唱しました。人は一生涯、主体的な「学習者」として学び、成長し続けることができる存在であるという考え方は、広く国際社会に影響を与えました。特に、高等教育機関である大学においては、学習の主体者である「学生」の能動的で対話的な深い学びを重視する「アクティブラーニング」が主流になりつつあります。「新しい学力観」に基づくような「自らが学ぶ力」を養うためにも、「教える」「教わる」という関係性ではなく、学生自身が積極的に主体的に「学ぶ」ことが望まれます。

本学部は授業や教育の諸活動(実習を含めた)などを通した高い「専門性」と、様々な学生活動行事や課外活動、ボランティア活動や地域貢献活動などを通した豊かな「人間性」の育ち(全人教育)が得られる教育の環境が充実するように、努めています。皆さん自身が「なりたい自分」になるためにも、より良い保育者(社会人)になるためにも、「学習の主体者は自分自身である」という自覚を持って、大学での「学び」を大切にしてください。学生の一人ひとりが、生涯にわたって「学び続ける」ことのできる人に成長していかれることを心より願っています。